解説 限嗣相続とは

相続方法を限定する制度。親族内で相続の順位を定め、不動産などの財産が売却や贈与で分割されることを防ぐ。多くの場合、長男を先頭に男系の親族をたどって、たった1人の男性の相続人がすべてを継ぐよう決められ、女性は相続できない。「ダウントン・アビー」の場合、現グランサム伯爵のロバートには息子がいないため、伯爵の爵位とともに豪邸“ダウントン・アビー”などのすべての財産を、長女メアリーではなく遠縁の男性1名が相続することが決まっている。

先代グランサム伯爵による限嗣相続の設定により、現当主ロバートの遠縁のマシュー・クローリーが爵位、土地、屋敷、伯爵夫人コーラの持参金を含む全財産を相続する。伯爵家の財産全体から見れば、3人の娘たちに分与される額は微々たるもの。もし長女メアリーが相続人のマシューと結婚すれば、爵位も財産もこれまで“ダウントン・アビー”の屋敷で暮らしてきた家族のもとに残ることになるが、当のメアリーは政略結婚に反発している。

爵位には授与された時点からそれぞれ個別の規定があり、マシューが次期グランサム伯爵となる継承順位は変えることができない。しかし、伯爵夫人コーラと先代夫人バイオレットは、先代伯爵が設定した限嗣相続を解除して、土地・屋敷・財産のみ長女のメアリーに相続させることを考える。メアリーが“女相続人”になるとすれば、その財産を目指して多くの求婚者が現れるだろう。